boy in tennis gear with tennis ball in his mouth and angry expression

健全な競争心?それとも、
何をしてでも勝つ?

健全な競争心:マット・サンダース教授が答えるQ&A

Q:競争心はよいことですか?

マット・サンダース教授:競争はよいことだと考えます。親がそれを促すにしろ、促さないにしろ、子どもは競争心が強いものです。運動場に子どもを連れて行き、A地点からB地点まで走るように言った時に、同じ年齢の友だちがいれば、 すぐにかけっこが始まるでしょう。こうした活動に子どもが参加する時には、より速く走る、または一番速く走ることに関して自然にある種の競争心が湧き出るものなのです。

Q:競争心が強すぎるということはありえますか?

サンダース教授:競争心が問題になるのは、親が成果を過大評価する場合です。すなわち、子どもにプレッシャーを与え過ぎて、参加することより勝つことを重視する場合です。こうした親は、コーチに対して、そして最悪の場合には子どもに対して、「親をがっかりさせた」ことに対する失望や不満、怒りを示します。そうすると、競争は、親が子どもに強要する、パフォーマンスに対する願望を、攻撃的に追求する種類のものに変わってしまいます。そうした状況下での競争は、勝つことに過度に重点が置かれ、観客同士が互いに腹を立てて感情的になったり、観客同士がけんかしたり、審判に文句を言ったりすることになりかねません。

Q:子どもが勝てなかったり、ひどい結果を出したりして、とても動揺したら、どうすればよいのでしょう?

サンダース教授:親はある程度のリスク、失敗、失望を子どもに経験させる必要があります。すべてを解決してあげるのではなく、こうしたハードルを子どもが乗り越えられるよう、感情面でサポートしましょう。もちろん、子どもをただ世の中に投げ出して、自分で対処するように期待することはできません。子どもの年齢が低いほど、感情面でのサポートを必要とします。

でも、子どもがある程度大きいのであれば、問題が起きた時にただ安心させるよりも、親が子どもの気持ちを理解していること、そして、子どもが「自分で」、難しい、または大変な状況に対応できる方法を見つけられるよう助けることを知らせましょう。子どもが大きくなるにつれ、次第に手助けを減らし、子どもが状況に対応し乗り越えるのに十分な手助けを行いましょう。必要以上に手助けはしません。

Q:子どもが不安だったり、完璧主義で、自分自身にプレッシャーをかけ過ぎている場合は、どうすればよいのでしょう?

サンダース教授:それは、非常に高レベルのパフォーマンスをする、選ばれた世界でのスポーツの話であるのか、日常的な場面のことであるのかにより、異なってくるでしょう。子どもは自分のパフォーマンスに期待を持つことがありますが、時として、親やコーチ、その他の人々が与える周囲からのプレッシャーに影響される場合があります。その場合、子どもは、自分でそうしたパフォーマンスに対するプレッシャーをかけるようになり、よい結果が出せないと、自分を強く責めるようになります。しかし、同時に子どもはどのように競争すればいいのか、またフェアに戦える方法を学ぶ必要があります。そうすることで、勝利がすべてではないと知るのです。大切なのは参加することであり、競い合うことであり、勝ち負けにかかわらず、ベストを尽くすことなのです。

試合のたびに負けてばかりのチームにいたくないのは当然です。私がジュニアラグビーのコーチだった時(数年間やっていたのですが)必ず強調したのは、子どもにキャッチ、パス、キック、タックルといったスキルを教えることでした。 こうしたスキルを正しく学ぶと、子どもは試合を楽しむようになります。そして、スキルを磨けば磨くほど沢山勝つようになるのです。

Q:それは、自分自身を相手にする、ということですか?自己ベストを高めるということですか?

サンダース教授:そうです。しかし、完璧主義であることではありません。誰でも調子の悪い日があるでしょう?競争のたびにタイムやパフォーマンスを向上させる、といった完璧を求めるのは、まったく現実的ではありません。自分より速かったりよくできたりする人が必ずいるものです。ごく一部の子どものみが、選ばれた、もしくはプロのスポーツ選手となるのです。子どもが日々参加するスポーツ活動では、勝つことではなく、楽しみ、参加、スキルの向上に重点を置くべきです。

スポーツに参加する動機が勝つことだけの子どもは、結局スポーツを楽しめなくなります。結局、競争したりスポーツに参加したりすることで重要なのは、運動することで一生続く喜びを生み出し、友だちや仲間を作り、社交的な面を持つ集団活動の一員となることです。