2025年、子どもたちの人間関係、いじめ、社会的な課題を乗り越えるための手助け
世界の一部の地域では新学期が始まり、また別の地域では冬休みが明けるなど、子どもたちが学校に戻る時期を迎えました。こうした時期は、期待に胸を膨らませる一方で、不安な気持ちが入り混じることもあるでしょう。特にお子さんのメンタルヘルスやウェルビーイングを気にかけている保護者の方々にとっては、心配事が増える時期かもしれません。友達付き合いの難しさやいじめの問題、あるいは「フレネミー」(友達のふりをした敵)との厄介な関係など、学校に戻るということは、ストレスの多い時間にもなり得るのです。
トリプルPインターナショナルのオーストラリア担当カントリーディレクター、キャロル・マーキー・ダッズ氏は次のように述べています。「新年(新学期)は、子どもたちに新たな学びと成長の機会を与えてくれますが、同時に先行きが不透明な時期でもあります。友人関係をうまく築いていくこと、そして同級生や友達のふりをした子、あるいは『フレネミー』から起こりうるいじめにどう対処するかという問題は、子どもたちとその家族の心を重くしているかもしれません」
マーキー・ダッズ氏は続けます。「悲しいことに2024年は、いじめが子どもや若者にもたらす長期的、かつ時には破壊的ともいえる影響が、ニュースで繰り返し報じられました。それに加え、その有害な影響が家族、そしてより広く地域社会にまで波紋のように広がっていくことも浮き彫りになりました」
「いじめや意地悪な行動は、現実世界でも、SNSやオンラインゲーム上でも起こり得ます。その内容は、悪口を言うといった言葉によるものから、意図的な仲間外れ、悪意に満ちたグループチャット、さらには押したり殴ったりといった身体的な暴力、あるいはそれ以上に深刻なものへとエスカレートすることもあります」
「こうしたいじめの影響は、学校の中だけの問題にはとどまらず、不安症やうつ病など、長期にわたるメンタルヘルス上の問題につながる可能性があります」
「子どもたちがこの新学年を乗り越えていくために、いじめや問題のある友人関係に対処するスキルと、レジリエンス(困難から立ち直る力)を育めるよう手助けする上で、保護者が果たす役割は極めて重要です」とマーキー・ダッズ氏は述べました。
トリプルPが提案する、ポジティブな人間関係を育み、子どもが社会の壁を乗り越えるのを助ける6つの実践的な方法:
- レジリエンス(困難から立ち直る力)と自己肯定感を育む: お子さんが楽しんでいる、あるいは得意な趣味や活動を促し、自信を育む手助けをしましょう。そうすることで、困難な状況や挫折に立ち向かう力が強化されます。そして、「何があっても、あなたは愛され、価値のある存在だよ」ということを、日頃から伝えてあげてください。
- お子さんと定期的に話す機会を持つ: 家庭内に、お子さんが評価を気にすることなく、自分の考えや気持ちを安心して話せる場を作りましょう。「今日一番良かったことは何?」「何かいやなことや、もっとこうだったらよかったのに、ということはあった?」といった自由回答形式の質問(オープンクエスチョン)を投げかけ、お子さんとオープンで正直な対話をしてみてください。
- いじめのサインに気づく: 学校に行きたがらない、今まで話していた友達を避ける、理由のわからない身体のあざや服の破れなど、いじめられている可能性を示すお子さんの行動のささいな変化に注意しましょう。子どもが安心して行動できるように、いじめについて話し合い、自分の気持ちを伝えたり、信頼できる人に助けを求めたりする方法を一緒に考えていきましょう。
- 共感とソーシャルスキルの手本を示す: 日々の生活の中で、保護者自身が思いやり、尊敬、そして多様性を受け入れること(インクルージョン)の大切さを行動で示すことで、子どもたちがその重要性を理解する手助けをしましょう。
- ロールプレイをしたり、様々な状況を想定したりする: 難しい対人関係の場面でどう対処すればよいかを話し合ったり、実際に演じてみたりすることで、そのような状況に対応するためのお子さんの自信を育みましょう。例えば、誰かにからかわれた場合や、他の子がいじめられているのを見た場合にどう行動すべきか、一緒に考えてみてください。また、友達との間で健全な境界線(バウンダリー)を引く方法を教え、自分の気持ちを効果的に表現できるよう、ポジティブなコミュニケーションを練習する手助けをしましょう。
- 学校と連携する: 何か心配なことがあれば、先生やスクールカウンセラーと連携し、早期に対処できるようにしましょう。家庭と学校で一貫した対応が取れるよう、学校のいじめ防止方針や関連プログラムについても把握しておくことが重要です。
キャロル氏は次のように述べています。「もしあなたのお子さんがいじめや友人関係の悩みを抱えているのであれば、お子さんの話を無視したり、一人で問題に対処させたりしないことが極めて重要です。落ち着いて耳を傾け、何が起こったのかをできるだけ詳しく話せるように促しながら、前向きで安心できる環境を作ってあげてください。大人が状況を把握していれば、より注意深く見守り、迅速に対応することができ、さらに、いじめを防いだり対処したりするための新たなスキルを子どもが身につける手助けができます。」
「保護者の方々にとって、これらの困難を乗り越える手助けをするのは一人ではない、ということを覚えておくことが大切です。いじめに関連する問題に対処するためには、学校やカウンセラーをはじめ、利用できる支援がたくさんあります」
「トリプルPもまた、子どもたちが困難に対処するスキル(コーピングスキル)を身につけ、社会的・感情的なウェルビーイングを高めるためのスキルを保護者の皆様に提供する、科学的根拠(エビデンス)に基づいたプログラムを用意しています。皆で力を合わせれば、来たる新学期において、子どもたちが社会的にも精神的にも健やかに成長するのを助けることができるのです」とマーキー・ダッズ氏は締めくくりました。