figure running on a hamster-wheel type blurry clockface

あなたの生活のバランスは?

出生率の低下は、日本で大きな問題になっています。他の国々もそうですが、高齢者へのケアに対する懸念もあります。このような課題から来るプレッシャーは、国の経済を支えるための長時間労働という形で、働き盛りの世代にのしかかります―働く親の皆さんにとっては、子どもたちとの時間が制限されることになります。

働く親が、子どもと過ごす時間を見つけることに苦労しているのは、日本だけではありません。週末も、子育てと家事に追われ、気がつくと新しい一週間がまた始まる生活は、世界中で見られます。

仕事と私生活の間に健全なバランスを見出すことは、誰にとっても難しいことです。そもそも、一人一人状況が違いますから、「正しい」ワークライフバランスとは何なのか、見出すことは難しいですよね。

子育て世代のご家庭の多くが、経済的な理由で両親ともにフルタイムで働き、子どもが長時間保育を受ける必要があります。家に仕事を持ち帰って、子どもが寝てから仕事をしなければならない人もいるでしょう。このように、家庭を支えるために、働く親が「するしかない」ことはたくさんあります。でも、それが理由でワークライフバランスが放っておかれることになりかねません。

多くの国では、企業主と行政が協働し、家庭や個人を助けるために、働く親、特に働く女性に、様々な形の支援を提供しようとしています。でも、まだまだ多くの親が仕事と家庭の衝突を日々経験しているのが現実です。個々の家庭でできることが、何かないのでしょうか?一歩引いて、長期的な視点で考えましょう。

日々の忙しさの先にあるものに目を向け、長期的な視点で考えることが大切です。例えば、子どもと過ごす時間を見つけることに苦労し、それに罪悪感を感じていれば、既に大忙しの生活をしているところに、さらにストレスが加わります。長時間労働は、あなたの身体的な健康に害を及ぼしかねないだけでなく、仕事での事故やミスが起こりやすくもなります。

子どもと時間を過ごすことの重要性は、多くの親御さんが既によくご存知ですが、どのくらいの時間を過ごせばよいのか、その時間をどのように過ごせばよいのかについては、よくわからない方もいらっしゃるかもしれません。驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、子どもと過ごす時間は、量より質が大事なんです!

ある親が、一日中子どもと一緒にいられるのですが、その生活に退屈し、孤独で、イライラしたりムッとしたりしながら過ごしているとしましょう。もしこの親が、1日1時間しか子どもと過ごせないけれど、その1時間、子どもにフルに注目するとしたら(子どもと話す、子どもの話を聞く、子どものしていることを見るなど)、どちらが親にも子にもいいと感じますか?つまり、大事なのは量ではなく質なのです。

親が適切なバランスを見つけることが大切です。親が子どもと一緒にいる時間が長すぎて、親が前向きに感じられなくなってしまうことも起こりうる、という研究もあるのです。その代わりに、一回一回は短くても、頻繁に有意義なやり取りをすることは、その積み重ねで、自分が愛されている、親が自分に関心を持っている、と子どもが知ることに役立ちます。

自分へのケアなしに、他の人の世話をすることはできません

子どもと過ごす時間は、あなたの私生活の一部にすぎません。自分のニーズを満たす時間を持つことも大切なのです。自動車が走り続けるためには、給油や定期的な点検が必要なように、家族や地域に役立つ生き方を続けるには、自分を大切にすることが必要です。

あなたにとって、リラックスしたり、「自分の時間」を感じたりすることができる活動は何でしょう?優雅な休暇をとる必要はありません。また、長時間のリラックスが必要なわけでもありません。一人でお茶・コーヒーを一杯飲む、散歩、久しぶりに友達に電話してみる、のような事でもよいのです。(新しい研究によると、1日20分日記をつけると、心理的によい効果があるそうです)このような活動を、たまにでもいいですから、自分のスケジュールに組み込むと、日々の家庭や仕事での課題にリフレッシュした気持ちで向かう手助けとなります。

呼び方が逆?

ワークライフバランスと言えば、日本で最近お会いした方がこんなことをおっしゃいました。「『ワークライフバランス』って言うけど、ちょっとおかしいですよね。『ワーク』が『ライフ』の先に来てるでしょ。『ライフワークバランス』でしょ!」私も賛成です。ちょっと立ち止まって、自分の生活を見つめ、家庭生活や私生活を少しでも有意義にするためにできる、小さなことについて考えてみるのはいかがでしょうか。