four toddlers play with toy building blocks

子どもの発達に関する新しい知識が古い議論を終わりにするかも

子どもの発達は、遺伝と子育てのどちらかに主に影響されるのでしょうか?

以前は、この疑問に対する答えは「どちらか一方」とされていましたが、実際はそんなにシンプルではありません。

事実、ユニセフ(国連児童基金)が現在わかっていることを3つの主要なメッセージとしてまとめています。

  • 遺伝子と経験が共に脳の発達に影響する
  • 脳内の部位によってその機能は異なるが、それらの部位は連結していて複雑である
  • 人生の初期は重要な時期である―乳幼児の脳内で作られる連結は「心身の健康だけでなく、個人の学ぶ力、変化に適応する力、予期せぬ出来事から立ち直る力の基礎となる」

まずは、生後から3-5歳までの子どもの発達に関する3つの主要な点について簡単に振り返ってみましょう。子どもが持っている可能性を最大限に引き出す手助けとして、保護者にできることは何でしょう?

  • 知的発達お子さんと話す、お子さんの話に耳を傾ける、お子さんに本を読んであげる、などができるでしょう。一緒に遊んで、周りの世界の素晴らしさを見せてあげましょう。小さなことでも構いません。子どもにとってはすべてが新しいものです。ブロックを積み上げたり、シャボン玉を膨らませたり、花(雑草でも構いません)を摘んだりして、形や色、文字や数字、音、におい、感覚などについて学びながら、子どもと一緒に物事を再発見しましょう。
  • 感情の発達:  お子さんに愛情をかけすぎる、ということは実際にはないことです(お子さんに自由にさせ過ぎることは起こり得るでしょう。それはまた別の話です)。親が落ち着いていて、一貫して育む存在であることをお子さんに知ってもらうことは、お子さんの社会的・心理的な幸福感の基礎となります。
  • 身体の発達お子さんがテレビやタブレットに多くの時間を費やしたり、加工された食品ばかりを食べたりしていませんか?当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、屋外での楽しい活動が用意されていること、何かに登る、遊ぶ、走る、バランスをとる、ブランコに乗る、滑り台で滑る、などの機会が子どものためにあるように努めましょう。子どもには果物や野菜をたくさん摂らせましょう―必要ならミキサーを使って摂取しやすくすることも必要かもしれません!フライドポテト、甘い飲み物、キャンディー、高脂肪のスナック菓子は摂り過ぎないようにします(このような食品を子どもが味わうタイミングを先延ばしすればするほど、子どもがそのような食品を欲しがる可能性を減らすことができます)。子どもが早く寝ることもとても大切です。もしお子さんを寝かせることに手こずっているのであれば(とてもよくあることです)、迷わず相談しましょう。

お子さんが親が期待するように発達していないときはどうすればよいのでしょう?子どもの体格や気質は様々です。自分の子どもが一定の発達段階の「基準」に達しているかどうか、気にしすぎる保護者の方がいらっしゃることは事実です。ある一定の年齢になったら子どもは何ができるのかについて、大人が非現実的な期待を持っていることもありますし、大人が子どもの個人差を認めていないこともあるでしょう。

とはいえ、身体的、または行動や情緒の発達に関して、何かおかしいな、と親が感じた時には、親の対応が顕著に前向きな変化をもたらすこともある、ということを親が知っていることは大切です。長期的によい結果を子どもにもたらすためには、早めに支援を得ることがとても大事です。お子さんが特に問題があるという兆候が見られないときでも、効果的な子育てはお子さんが人生のよいスタートを切る機会をもたらします。

お子さんに身体的または精神的な疾患があるかどうかの疑問はここでは少しおいておきましょう。お子さんの行動に問題があるとき、自分または子どもに「責任」があると親が思う事は珍しくありません。ここでこのブログの最初の話に戻るのです:子どもの発達に最も大事な影響を与えるのは「遺伝」と「育つ環境」のどちらかである、という昔からの説は今や時代遅れなのです。どちらかがより大切である、ということではないことが今ではわかっています。この二つの要素には重なっている部分や相互に作用している部分があるからです。

例えば、怒ったりストレスを感じたりしている時、人間の体ではアドレナリンなど、ある一定の化学物質が作られます。落ち着いている時や満足している時は、全く異なる化学物質が作られます。このような化学物質の作用により脳の活動が影響を受けます。また、脳内には神経経路があり、私たちが受ける経験や情報によってその経路が成長したり変化したりします。一定の状況に対して言っての化学物質を作るように脳が「学ぶ」のです。これが繰り返されているのです。子どもの脳や体は最初の3~5年間で急速に発達することを考えたら、このような要素が子どもの身体・認知の発達にどれほど影響するか、考えてみてください!

ですから、家庭内でストレスが続いている、親がよく怒鳴る、両親がけんかする、などの状況は子どもの発達によくない影響を与える可能性があるのです。しかし、子育て家庭や保護者に子育て支援を提供することで、子どもにも親にも重要な幅広いメリットをもたらすことができる、というエビデンスも増えているのです。

これは個人にだけあてはまる話ではありません―地域全体、社会全体に当てはまる話です。子育てに関する親のスキル、知識、自信を強化することで、地域全体の子どもたちの健康や幸福感の顕著な向上が達成できるのです。

ですから、お子さんに以下の面で成長してほしいと思ったら:

  • 良好なコミュニケーションや社交のスキル
  • 自分の感情に対処する能力
  • 自立のスキル
  • 問題解決のスキル

親として、あなた自身が以下の面で成長できるよう考えてみましょう:

  • お子さんの行動や感情に前向きな方法で対処するやり方についての理解
  • お子さんの学びを助けるために、日常の状況を活用したり、機会を作ったりするスキル
  • ストレスを感じるときでも、物事の前向きな部分に目を向ける力
  • 問題を防ぐために、親が前もって計画できる手助けとなる手法やスキル
  • よりよい人間関係づくりやコミュニケーションのスキル

他の言い方をすれば、子育ての学びが子ども、親、社会にメリットを与える「主な」ものであるかどうか議論するよりも、昔からの「遺伝か子育てか」の議論から前進しましょう。この議論に対する答えを明確にしましょう:答えは「どちらか一方」ではなく、両方なのです。