girls hiding under the bedcovers - one scared, one smiling

蜘蛛、暗闇、雷:よく知れば、
そんなに怖くありません

小さい頃は、世界は怖いところだと感じることもありますね。小児期の怖がりには、理解できるもの(迷子になる、ケガをするなど)から、奇妙なものまであります―トイレ、ドアの呼び鈴、特定の本やおもちゃなど、子どもはいろいろなことを怖がるんです!

小児期の怖がりのほとんどはよくあることで、比較的軽いことが多く、子どもが成長し、周りのことを知るにつれて、なくなっていきます。ある程度の恐れは、自分の身の安全を守るもので、健全なことです。子どもに道路に飛び出たり、火に手を突っ込んだりしてほしくはありませんものね。でも、子ども、そして大人もですが、恐怖症のように恐怖感が持続する人もいます。このような恐怖感は、日々の生活に支障をきたすこともあり、場合によっては心身の健康に影響を与えます。

では、子どもの抱える恐怖がその年齢にとって普通のものなのか、または何か対策をとったほうがよいものなのか、親が見分ける方法はあるのでしょうか?一つの方法は、子どもを見守り、時が経つにつれて子どもの反応がよくなるか悪くなるかに注目する方法です。

新しい物事に慣れる

例えば、子どもが初めてやんちゃな子犬に出会うと、子どもは泣いたり、怖がっている表情をしたり、抱っこしてほしいとねだったりするかもしれません。この場合は、子犬を飼うために必要なスキルや行動、そして子犬を飼うこと自体について、子どもはあまりわからない状態ですから、怖がるのは理解できます。ですが、その子犬が既に家庭の一員である、またはご近所や親戚の犬である場合には、子どもはその状況に素早く慣れていきます。子どもは、他の人たちがどのように犬を扱っているかを見ますし、自分がどうすればよいかも学びますから、自然と徐々に子犬に慣れていき、問題ではなくなります。

このように、最初は目新しくて警戒することでも、どんなものかわかってくると、子どもは安心して怖がらなくなります。周りに支えられた環境で、目新しいことに何度も触れることで、避けることなく、子どもはゆったりとしたペースで、その新しいことについて学ぶことができます。子どもが恐怖心を克服するには、このような方法が最善な場合がよくあります。

恐怖が大きくなってしまう時

ですが、もし子どもが目新しい状況に触れる機会があまりなく、そのたびに怖い経験をすると(そして、すぐにその場から抜け出してしまうと)、その状況は子どもにとって、より怖いものになってしまいます。その状況を避けるようになり、恐怖心の悪循環を作りかねません。気がつくと、恐怖心が実際のリスクよりもずっと大きくなってしまうのです。

親自身がある状況に恐怖心を抱くこともあるかもしれません。例えば、親に不安症、パニック障害、または恐怖症がある場合、子どもの恐怖心には2つの要素が考えられます:親から受け継いだものと、子どもが親を見て学んでいることです。

このような恐怖心は、子どもが赤ちゃんの頃から始まります。例えば、お母さんまたはお父さんが犬を少し怖がっているとしましょう(先ほどと同じ例を使います)。その場合、犬が道で走り寄って来たり、大きく吠えたりすると、その親は赤ちゃんを抱きかかえるでしょう。子どもは恐怖やショックに反応するので、犬の鳴き声を恐怖心と関連付けます。

特定のにおい、場所、色なども、恐怖を感じさせる状況の一部である場合は、恐怖と結び付けられることがあります。

親が怖がると、子どもは「自分を守ってくれる人が怖がっているのだから、本当に怖いに違いない」と考えます。ですから、親が子どもの前での言動に注意することが大事です。特に、テレビやラジオで見聞きすることへの親自身の反応に気をつけましょう。どんなに小さな子どもでも、子どもは親の恐怖心に気づきます。ニュースの中には、恐怖心をあおるように作られた内容がたくさんあります。そのような内容に人々が興味を抱くからです!

よい知らせ

大人が子どもに自分の恐怖心を移してしまう可能性があるように、恐怖心に対処するスキルや対処する自信の手本を、大人が子どもに示すこともできるのです。「最初は自信のあるふりをするだけ」でもいいのです!もしあなたが激しい嵐や蜘蛛などを怖がる人であれば、そのような状況に直面すると脈拍が上がったり、不安感が高まったりするかもしれません。ですが、自分のペースをスローダウンし、落ち着いて深呼吸をし、自分は子どもに恐怖心を見せずに落ち着いて対処できると、自分に言い聞かせることが大切です。もしそれが難しいと感じられる場合は、自分の恐怖心について、専門家のアドバイスを得ることもよいでしょう。

以前、エレベーターが怖いというお母さんがいて、子どもさんを診察に連れて行くときに、エレベーターを使わないといけない、というご相談を受けたことがあります。そのお母さんは支援を受けて、エレベーターは怖いものではないと子どもさんにわかってもらえるように、自分の不安を対処しながら落ち着いていられるようになりました。

よくある罠に陥らないようにしましょう

子どもをなだめたり、安心させたりすることは、ある程度は自然で健全なことですが、過剰になると、子どもが、自分の感情に対処する力が自分にないと感じ、親に頼るようになってしまうこともあります。

ですから、困難に感じる状況について、子どもが自分で対応できる方法を考えるように促したり、これまで子どもが克服した恐怖心について思い出させたり、リラクゼーション法などの効果的な対応スキルを身につけるように子どもを助けたりしましょう。親に頼るのではなく、子どもが自分で状況に対応することができるという自信をできるだけ育てましょう。

服がきちんと着られていない、手が汚れている、髪がまっすぐでない、などの事柄に深刻な不安を抱える子どもさんがいる家庭と関わったことがあります。そのお子さんは、自分の髪をなでて、自分の髪が乱れていないことを親に始終確認していました。このようなことがいつも起こっていたので、髪は大丈夫だとお母さんが安心させることは普通のことなのですが、この状況ではかえって逆効果になっていました。自分の感情を対処するために、子どもがどんどん大人に頼ってしまっていたのです。

このお子さんが不安を克服するために、髪が乱れていてもそのままにしておく、泥のパイを作って、手や顔に泥をつけたままにしておく、靴下を逆向きにはいて、かかとの部分が足の甲にあるようにしておく、などを徐々に試していきました。このような状況に子どもさんが対処する方法を身につけ、多少の不具合も、深刻な不安を感じずに体験できるようになるまでこれを練習しました。

助けを得るのは昔よりも簡単です―助けを得ることはよいことです

もしあなたのお子さんに日々の生活に支障をきたすような不安があるとしたら、助けを得ることはよいことです。子ども向けに作られたプログラムがたくさんあります。このようなプログラムには、認知行動療法(CBT)や、対応スキルや自信を育む要素が特に含まれています。

子どもが成長する中で、助けを得て、問題が悪化することを防ぐことは大切です。不安と強迫性障害(OCD)に関連性があることが知られていますが、OCDは治療しないでいると、生活に大きな支障をきたすからです。もし子どもさんが助けを得ることがよいとお考えでしたら、エビデンスのある不安症の治療を専門とし、治療に親も関わることができる臨床心理士を探してみましょう。

スペインのことわざに、「vivir con miedo es cómo vivir a medias – 怯えながら生きることは、人生を半分しか楽しめないようなものだ」ということばがあります。恐怖心を克服したり、恐怖心を対処したりすることで、子どもは現在の日常にある恐怖心に対応できるようになります。そして、成長していく中で、新しい困難にも自信を持って挑むことができるようになるのです。