トリプルP、おじいちゃん・おばあちゃんへ「ご自身の心と体の健康も大切に」と呼びかけ
「トリプルP – 前向き子育てプログラム」の専門家たちは、幸せでしなやかな家庭を築くうえで、祖父母や、血縁関係のない祖父母のような存在の人、そして親族が重要な役割を果たすことを強調しています。同時に、彼ら自身のウェルビーイング(心身の健康)にも気を配る必要があると強く呼びかけています。
トリプルPインターナショナルの研修責任者であるアラン・ラルフ博士は「孫の世話に関わる祖父母は、健康面やウェルビーイング(心身の健やかさ)において前向きな効果を得られることがあります。
その経験は喜びに満ち、孫や成人した子どもたちとの関係を育み、支え、長く続く絆を築く貴重な機会にもなります」と述べています。
「しかし、積極的な役割を果たすことにはメリットがある一方で、祖父母としての役割はストレスになることもあり、心身の健康や、時には家族内の関係にまで影響を及ぼす可能性があります」とラルフ博士は語ります。
「家庭内の不和、プレッシャー、経済的困難などにより、祖父母がこれまで以上に積極的に孫のケアを担うケースが増えています。オーストラリアでは、約6万人の祖父母が孫の主たる養育者となっており、これは特有の困難を伴う場合があります」
「複数の研究によって、祖父母が養育者としての役割を担うことで、ストレスや不安、うつのリスクが高まることが指摘されています。そしてその影響は、周囲の人々にも波及する可能性があります」と彼は述べました。
「子どもは、私たちが思っている以上に多くのことを感じ取るものです。そのひとつが、大人のストレスや不安です。だからこそ、成人した子どもを支え、孫と健やかな関係を築きながら、ご自身の心身の健康も大切にする方法を見つけることが重要です。」
祖父母の役割を担う方々が、緊張やストレスに気づき、それを和らげるための簡単な方法をいくつかご紹介します:
- ご自身の体の声に耳を傾け、ストレスのサインに気づきましょう。 例えば、頭痛、睡眠不足、イライラしやすくなる、などです。
- 何がストレスの原因になっているのかを見極め、生活習慣を見直してみましょう。生活習慣を変えることで、それらの問題に対処できるか検討してみましょう。
- 祖父母としての役割や、期待されていることについて、オープンで率直な話し合いの機会を持ちましょう。オープンなコミュニケーションはストレスを減らし、家族全体で協力し合える関係づくりに役立ちます。
- 遠く離れていても、つながる工夫を:ビデオ通話や電話を定期的にすることで、近況を話したり、一緒に本を読んだり、歌を歌ったり、宿題を手伝ったりと、関係を深めることができます。
- 早めに境界線やルールを決めておきましょう:お互いの誤解や摩擦を避けるために、何をお願いしたいのか・できること/できないことを話し合っておくことが大切です。
7人の孫(すべて7歳以下)を持つライオネル・アーミテッドさんは、祖父としての子育ての大変さと同時に、その喜びも身をもって感じている一人です。
「孫の世話は楽しいですし、私たちは孫の面倒を見るのが大好きです。しかし、時には疲れ果て、試されているように感じることもあります」とライオネルさんは言います。
「孫たちと過ごすことで、若々しく、活動的でいられますし、彼らがそれぞれの個性を育んでいく姿を見るのは本当に素晴らしいことです。」
「祖父としては、体力を維持しておくことも大切ですね。体を動かすと言っても、年下の孫たちとは激しい運動をする必要はありません。
犬の散歩をしたり、ボールを蹴ったり、ふざけた遊びをしたり、手先を使うような工作をしたり――孫によっても、楽しい活動はそれぞれ違います」と話してくれました。
子育てにおいて親と足並みをそろえることについて、ライオネルさんは次のようなアドバイスをくれました:
「親と一貫した対応をとることが大切だと思います。ときには、親のよき助言者(メンター)となることもあります。そうすることで、孫たちに一貫したメッセージが伝わるのです」