happy parents either side of toddler-age boy

お父さんも子育ての輪に

近年、父親が子育てに関わることがよいとされています。多くの国でフレキシブルな働き方が行われている中で、日本や米国などでは、多くの人々が長時間勤務をしています。多くのお父さん(そして働くお母さん)が、長時間労働の上に子育てにも関わることが自分にできるのか、実際どのくらい子育てに関わればいいのか、迷っているのではないでしょうか。

 

伝統的な親の役割を振り返ってみませんか?

父親は外で働き、母親が家事と子育てをする傾向が、昔は強かったですね。

でも、時代は変化しています。この20-30年の間に、父親の子育てへの参加が子どもの成長に与える前向きな効果が研究でわかってきました。多くの研究で、父親が積極的に子育てに関わっている家庭では 、子どもの言語、社交スキル、人間関係に関するスキルなどの発達に、よい影響があることが示されています。

特に男の子にとって、適切に子どもと関わっている父親は、よい手本となりえます。また、研究では、父親の子どもにとっての効果的な影響は、実の親か、父親が同じ家に住んでいるか、などに左右されないことも分かっています。「父親のような存在」である人が、子どもの日々の生活の中で、子どもにとって前向きに関わっていることが大事だ、ということなんですね。

「でも、働く時間が長いから」

では、「積極的に子育てに関わる」というのは、どういうことなのでしょう。子どもと向き合う時間の長さが問題なのではありません。子どもと関わっているときに、どのような会話ややり取りをしているか、いわば大事なのは「質」なのです。例えば、子どもさんをお風呂に入れる時に、ただ単に言われたようにするように子どもに言うだけですか?おそらく、その日にあったことを子どもに聞いたり、お風呂が楽しくなるようなゲームをしたりする、という方が多いのではないでしょうか。子どもは、このようなやり取りを通して、親が自分に関心を示してくれる、大事な存在だと思ってくれている、と感じます。それが子どもの自信や自己肯定感につながります。

言うまでもないことですが…

…でも言います。母親にとっても、父親が子育てに参加することのメリットがあります。子育ては、毎日続くもので、忍耐とエネルギーが必要です。特に子どもが小さいうちは、子どもを一人にしておくことができませんから、特に大変で、身体的にもつかれます。自分がトイレに行く時間を見つけるのも難しい、という体験をする親御さんもいらっしゃいますよね!小さな子どもと1対1で向き合っているだけで一日が終わるような生活が続く中で、大人同士の会話が持てず、身体的にも精神的にまいってしまう、という日本の親御さんのお話をお聞きすることもあります。

その大変さを少しでも分け合える、または大変な経験を聞いてくれる人がいる、というのは、母親にとって大きな安心になるでしょう。また、日本でも、他の国々のように、「主夫」として子育てに関わっていらっしゃる父親が徐々に増えてきていますが、「主夫」のお父さんたちも、母親との会話やヘルプは助かるでしょう。重要なことは、父親と母親がチームとなって子育てに関わることです。

子育てについて意見が合わない時はどうすればいいのでしょう?

「でも、自分とパートナーのしつけ方が違うから、けんかになってしまいます」という方もいらっしゃるでしょう。ママが子どもにダメと言っても、パパがOKしてしまうパターン(またはその逆のパターン)がよく起こっている家庭は、両親の間での衝突が多くなってしまいますね。親の間で子育ての方向性が異なると、親のストレスが上昇するだけでなく、子どもも、どちらが言っていることが適切なのかわからず混乱し、大事な生活スキルを効果的に身につけることが難しくなってしまう可能性があります。

また、親同士がしつけについて、子どもの前で衝突していると、子どもは自分のせいで親がけんかしていると、罪悪感を感じることもあります。

ですから、子育ての方針について、親同士が落ち着いて話し合い―カッとしている時ではなく、別の機会に話し合いましょう―なるべく一貫したしつけをすることと、チームとなって子育てすることを心がけることが大事です。Triple Pのファシリテーターさんなど、子育て支援の専門家の方に相談して、どうしたら家庭内で一貫した子育てができるか、限られた時間の中で、どのように効果的に子育てに関わることができるか、などヒントをもらうことも役に立ちます。他の働く親御さんたちに、どんな風に子育てに関わっているか、尋ねてみるのもいいかもしれません。

「子育てに関わる」という言葉を聞くと、特に働く親御さんにとっては、大仕事のように感じられるかもしれません。でも、子どもと関わる「量」ではなく「質」が大事です。できることから少しずつトライしてみましょう。